少し前に、駐在員の奥様たちが集まる場に赴く機会がありました。

駐在国は様々でしたが、残念なことに、その時、メキシコは私だけでした。


そこでは、海外赴任のエキスパートみたいな人がいて、これから海外に帯同する奥様たちの不安や悩みに、その人が答えるという時間がありました。


ある一人の奥様が、このような事を言っていました。


奥様「仕事もしていないのに、どうやって海外で社会性を身につければいいのか分からず、不安です。」


私は、この発言に共感しました。


見ず知らずの奥様!

私もその気持ち、分かります!


私は、海外赴任のエキスパートみたいな人の解答に期待しました。


知りたい!私もその不安の解消方法を!!


海外赴任のエキスパートみたいな人は、あっさりと、こう答えました。


「習い事をすればいいと思いますよ。」


え?

それだけ?

しかも、ありきたりな解答!


私は少しガッカリしましたが、いや、これは正答だとすぐに思い直しました。


とくに私のように語学力もなく、メキシコで職業を持たず、更に子どももいなければ、海外で社会性を身につけたり養ったりするには、習い事という手段が一番簡単なのだと思います。


私は、今はそうでもないのですが、初めてメキシコへ行った時、この奥様と同じような不安を抱いたことがありました。そのため、見ず知らずの奥様の発言に共感をしたのでした。





*私の平日の朝食5日分。一人で買い物に行けず、夫も帰宅時間が遅いため、食材は5日分買い込みます。食材がなくなりそうになると焦ります。ちなみに、日本ではOIKOSは160円くらいですが、メキシコはその半額くらいで売られています。お得感!






*ある日の切ない夕食…。買い物に行けず、食材がなくなったため、家にあった“じゃがりこ”と、残っていた玉ねぎとキノコでコロッケを作りました。こんな夕食でも、夫は楽しんでくれます。じゃがりこコロッケは意外とおいしかったです。





当たり前ですが、メキシコで、夫は仕事もある、友達もいる、自由に外界との繋がりを持てています。一方で、私は、家にいる事しかできないため、メキシコでの社会性は皆無です。

治安や交通手段、語学力の問題から、家にいる事しかできないのは、仕方のない事だと分かってはいたのですが、初めてメキシコへ行った時は、自分の覚悟が甘かったこともあり、引きこもり生活が、私にとって忍耐のいるものだったのです。


一週間ほど引きこもって、私は我慢できず、すぐに泣き言を夫に言ってしまいました。

自分で言うのもおかしいですが、私は、友達から、修行僧と呼ばれることがあるため、自分は忍耐強いほうだと思っていました。

それなのに…。



メキシコには私は友達がいないから、自分の世界がない。そのため、夫に依存するようなつまらない女になるかもしれない。それが夫の負担になりそうでいやだ。


私は、このような事を夫に言っていました。


いま考えると、なんて甘い事を言っていたのだろうかと思います。メキシコに住むのはなぜなのか、本来の目的を見失っていました。しかも、この時はまだ、メキシコへ来て、たったの一週間しか経っていませんでした。弱音を吐くのが早すぎます。自分で自分のことを説教したいです。


夫は優しい人なので、私が何を言っても私を責めません。いつでも私に、つらかったらメキシコに住まなくてもいい、と言って私の意思を尊重してくれます。弱音を吐いたこの時も、夫は、私に、無理しなくていい、と言ってくれました。


私は、メキシコに住むか住まないか、悩みました。


しかし、次の日、ある出来事がきっかけで、あっさりと、メキシコでもやっていけそう!と思えるようになったのです。




*グアナファトにて。セラヤもグアナファト州ですが、このグアナファトとは全く異なる街です…。



夫に弱音を吐いた次の日、私は、メキシコ人の若者二人とグアナファトへ出掛けました。


メキシコ人の若者二人は、夫の会社の部下です。

彼らはその日、仕事が休みだったため、私をグアナファトに遊びに連れて行ってくれたのです。私は、正直、この二人と出掛けることに乗り気ではありませんでした。しかし、この出来事があったおかげで、自分の抱えていた不安は解消していきました。




*メキシコ人の若者。画面右がダニーです。

鳩の糞が肩に落ちたため、拭いてあげているダニー。




*嗚咽を我慢するダニー。鳩の糞が臭すぎたらしく、嗚咽を我慢しながら拭いてあげていました。




彼らとは、グアナファトへ行く三日ほど前に初めて会い、食事を二、三回しただけの仲でした。私にしてみれば、親しくもなんともありませんでした。


その若者の一人に、ダニーという男の子がいます。グアナファトへ行く前日、ダニーの家で、ダニーの家族や夫の同僚の方々と食事をしていたら、ダニーから「明日、君をグアナファトに連れて行ってあげる。」というような事を提案されたました。夫は仕事のため、同行しません。私とメキシコ人だけです。


私は、英語もスペイン語も話せないので、戸惑いました。言葉もほとんど通じないし、しかも、知り合ったばかりのメキシコ人です。不安しかありません。


とはいえ、私は、このメキシコ人の親切心を無下にはできない…だって引きこもりの私を可哀想と思って誘ってくれているのかも(←きっと違う)


それに、ここで、私がNoと言ったらこの場の雰囲気を壊すかもしれない…ていうか、度胸がない奴って思われたくない(←誰に!?)


というような事を考えつつ、最終的に、夫に、行っても大丈夫なのかを聞いて、行くか行かないか決めることにしました。

夫は、「大丈夫だよ。僕もたまにダニーと出掛けるよ。」と言いました。これを聞き、私は、それならば大丈夫だろうと思い、覚悟を決めて、よく知らないメキシコ人・ダニーの誘いを受けることにしたのでした。


よく知らない人、しかもメキシコ人。言葉は通じない…。私にしてみれば、とても緊張する承諾だったのです。


しかしながら、そんな私にむかって、夫は「Noと言えない日本人だね!」と笑顔で言いました。


そうなのです、要するに、色々理由をつけて、私は単に「No.」と言えなかっただけなのです…。




つづく。





コメント
コメントする